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より深く感じ、より良く理解すること。
これを実践しているスタジオの展覧会が行なわれています。 「世界の建築スクール展 ETHスイス連邦工科大学の建築教育」 −Peter Märkliのスタジオから− に行って来ました。 展覧会に寄せた短い文章の中で、メリクリはこう記しています。 「既存建築群の中での新しい建築をどう扱い位置づけるかという課題こそが、建築家にとっての重要な任務といえる。同時に、建物の形状と表現(デザイン)の問題も重要な課題として取り組んでいる。我々は、失われてしまった建築をとりまく様々な要素を将来のために取り戻す必要はないのだろうか。 20世紀になされた問題提起はすでに様々な角度から論じられて来た。しかし、未来について考えるためには、すべての過去―近い過去も、遠い過去も含めて―について十分に検討し、研究しなければならない。そうすることによってのみ、我々の作品は人間の生活を写し取り、表現する感性を得ることができる。」 スタジオの様子を記録したヴィデオが、建築教育とは何かと深く考えさせてくれます。 そのなかでメリクリは以下のように語ります。 「そこには原理があり、場所の空間的視点がある。人は複数の場所を(同じ場所に)形作っている。従って人はただ一つの建物を作るのではなく、機能する建物を周辺の事象との関連性を踏まえながら、それぞれ説明しなければならない。例えばその構造や地域との関連性、コンセプト、それにより更なる建築の存在が可能となるのである。」 評価すべき提案をはじめにみせ、それと同時に、その他の複数の案をみせることで、それらが相互に関連しあい、スタジオの多様性と奥深さを表現するという意図の展示方法についても、このヴィデオを見ることで理解が深まります。 「我々のコースは自由で規定に縛り付けない。将来の建築家に全ての表現の可能性というのを学んでもらいたいと考えているからだ。」 「我々は、若い人が自らの感性を高め内面世界を豊かに醸成するように見守り支えていく。」 「勝ち負けと文化的な目標とは切り離されるべきである。そうすれば人々はお互いにもっと話しをするようになる。私が望むのは、それぞれの学期で、彼らの間で自然になにかをつくりあげることである。」 「建築をより深く感じ、より良く理解したと感じることである。」(学生のコメント) 「これこそが私が提供できるものである。」 ちょっと難しい言葉を使っているようにも聞こえますが、丁寧に聞いみるとそんなことはありません。そして同時にこれは建築教育だけの問題ではないのではないか?そんなふうにも聞こえました。 願わくば、このヴィデオ(ダイジェスト版でも)がギャラリーのサイトから見れると良いのですが・・・。そうすることで、より多くの人がこの素晴らしい紹介に興味を持ち、ギャラリーを訪れてみたいと思うのでないでしょうか。 自分自身がロンドンのAAスクールで、4年生・5年生としてPeter Salterから受けた建築教育を思い出しました。 記憶に残る素敵な展覧会です。皆さんもお時間があれば是非どうぞ。 2012/06/28までのようです。
by prospect-news
| 2012-06-03 08:32
| 随想
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