横須賀市を拠点とする私たちが綴るさまざまな風景と物語
by TORU OGATA
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空気感について。そして、静かな場所で、いつか見た風景。 先日来より、私たちのホームページ/プロジェクトのページと、それぞれのプロジェクトのページをあたらしくする作業を行って来ました。およそ出来たかな・・・という段階ですが、皆さんにアクセスしていただける状態になりました。よろしければどうぞご覧下さい。
この作業は、はからずとも、私たちがこれまでいろいろ試したり、提案したり、実際につくったりしてきた「建築」について、あらためて考え直すことでもありました。
写真は、上が浦和の家、下が久里浜の家です。 この二つの家の間には時間的な隔たりがあり、一方はリフォームでもう一方は新築という違いがあり、家族構成も・・・等々、与条件がまったく異なります。 それでも、どこか、ふと目を(そして心を)こらしてみれば、私たちが熟考し、そして設計を通して考えてきた、その過程で生まれた<アトモスフィア>とでもいうべきものが、両方の家のなかに立ち現れている、そんなふうに思います。これを一貫した設計思想云々と呼ぶべきものかどうかはわかりませんが、通底している感覚であることはまちがいありません。 ちなみにこの<アトモスフィア>という言葉は、少し前に出版されたスイスの建築家、ペーター・ツムトア(ピーター・ズンドー)の本のタイトルでもあります。この<アトモスフィア>という言葉を翻訳者である鈴木仁子さんは、<空気感>と訳されています。鈴木仁子さんは前回の記事に書いた「アウステルリッツ」の翻訳者でもあります。 しかし、気のおけない使いやすさや過ごしやすさに支えられた何気ない日常のなかに、すっと浮かび上がるこの<空気感>は、それをはっきりと捉えようとすると、その思いとはうらはらに向こうの方へ隠れていってしまいます。 もしかしたらこの<空気感>こそが、かつて萩原修さんが私たちの作品群に対して書いて下さった言葉<静かな場所で、いつか見た風景>、そのものなのかもしれない、そんなふうに今は考えています。
by prospect-news
| 2017-04-25 09:23
| 随想
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