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橙色の花たちが、そこに別の場所への入り口をつくっているような、
そんな不思議な光景です。 私たちが住んでいる街には、くりはま花の国という場所があります。季節ごとにコスモスやポピーなどが育てられ、子ども向けには園内を走るフラワートレイン(タイヤで走るのでトレインじゃないですね・・・)もあり、季節が良い頃には近隣から多くの人々が訪れるようです。 小山に囲まれ、周囲からは見えにくい谷間の場所を生かして立地しています。歴史的には、元々在日米軍の倉庫があったとか。それが久里浜緑地として整備され、今のくりはま花の国に至っているようです。 秋の気配も深まりつつある日の夕方、園内を散歩していて、夕闇の中に幻想的な橙色の花を見つけました。まるでそのあたりがふわっと浮かび上がったような、不思議な光景でした。キバナコスモスという花のようです。でもその時は、どこか別の場所につながる入り口のようにも見えました。 昨日は大学で担当している学生たちの卒業研究中間発表会がありました。そのなかに幾つか震災復興についてのプロジェクトがありました。私が担当している学生ではありませんが、彼らは皆実際に現地で活動し、そこで感じたことを提案にまとめるべく考え、表現を試みていました。そこに住んでいる人々へ敬意を持ち、力になれるのであれば、それはとても大切なことだと思います。 ただ同時に、なにかとても宙ぶらりんな印象も感じました。生活や仕事などへの視点ばかりが目に付き、建築を考える者が持つべき、場所そのものへのまなざしが見えてこない、そんな気がしたのかもしれません。 場所は、人のためだけにあるのだろうか。人と場所との関係とは、どんなものなのだろう。 震災復興は、私たちが乗り越えていかなければならない大きなテーマです。日々の暮らしや経済論理、それも大切です。でも、言葉ではうまく伝わらない大切な何かも、見失わないようにしてほしい。そんなことをキバナコスモスの群生を見ながら思いました。
by prospect-news
| 2011-11-09 09:23
| 風景
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