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今後の可能性と思考の広がりのために、特別賞とジョン・ヘイダックの本を、若い学生に贈りました。
先日は、毎年この時期に行なわれている横浜赤レンガ倉庫での建築展へ。そこで行なわれたデザイン系の実習科目の秋学期選抜作品の講評会に参加してきました。 学部1年生から大学院の1年生までの作品が発表されるこの会の楽しいところは、学年を問わずそのなかから審査員(専任教員と非常勤教員)の公開投票によって、金賞・銀賞・銅賞が選ばれること。そしてこれら以外に、各審査員はそれぞれ記念品付きの審査員個人特別賞を選びます。 私は1年生の作品「迷える個室」と題されたものを選びました。 その作品は、ひとつの立方体を平面・断面共に三等分し、分割されたそれぞれの立方体を部屋あるいはなにもないところとしています。壁や出入り口、部分的に斜め45度の梁のような要素を入れて、空間を限定したり方向性を与える操作がなされているようです。作者によればテーマは「迷路性と個別性」。単純な手続きをとりながら、その先に複雑な建築の体験と空間的豊かさをつくりだしているようです。 準備していた記念品は、「a+u」91年01月号、ジョン・ヘイダックの特集号です。会が始まるまでは、果たしてこの本を渡すのに適切な作品があるかな・・・と案じていたのだけれど、ぴったりのものがあって、我ながら驚きました。 みんなの前でこの特別賞を選んだ理由をざっくりと話したけれど、作者は、自分が制作したプロジェクトがどのように理解されたのか、わからなかったかもしれません。 今は理解できなくても、ああそういうことだったのかと思える日がいつか来ればよいのです。本人が思っても見なかったことやその可能性を見出して示すことは、教員や年長者の大切な役割のひとつだと思います。そして今回の出来事が、そのひと固有の感性や思考をより広がりのあるほうへと導き、新しい発見に少しでもつながるのであればそれでよし、と考え、作者の今後の展開と成長を楽しみにしたいと思ってます。 写真は、 上:「a+u」91年01月号より、ジョン・ヘイダックのベルリン集合住宅 下:「a+u」91年01月号と「九つの正方形」プロジェクトなどが掲載された「a+u」75年05月号
by prospect-news
| 2018-03-20 11:07
| 随想
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