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建築を建てること、品川の家について改めて思うこと。 2004年の暮れに竣工した品川の家です。 はやいもので今年で14年目でしょうか。 構造は重量鉄骨造。四隅の4本の鉄骨柱とそれらをつなぐH型鋼の梁によって建物が支えられています。室内には主要な構造体や床を支えるデッキプレートが露出して現れています。壁や造作家具などはすべて構造用合板でつくりました。床は無垢のからまつフローリング張りと畳敷きで構成しています。鉄骨部分はガンメタルの濃いグレーで塗装。ほとんどの壁は造り付けの本棚や収納で埋められています。 古い木造二階建ての建て替えであり、 建主さんの母世帯と建主世帯で玄関を共有する二世帯住宅でした。 このプロジェクトのもっともコアなるものは、建主さんたちの、受け継がれてきたこの土地にこれからも自分たちは生きてゆく、そのための場所を建てるという意志であり、そのために建てられた四本の柱に支えられた三層の床面という構造そのものであったように思います。つまりそれこそがこの建物におけるもっとも大切なところであり、それこそが「建築」だということなのです。 あまりにも直裁的なこの「建築」は、ある人にいわせれば、そんなの当たり前じゃない?ということだったのだけれど、今にして思えば、これが、建主さんたちにとっても、私たちにとっても、ああでもないこうでもないと不器用に回り道した末にやっと辿りついた「建築」を建てること、そのものの意味だったように思います。 ですから、多少無理があろうとも、武骨に見えようとも、とにかくその構造を何かで覆い隠してはいけない。自分たちの意志をそこに現し続けること、そのことにこだわっていたのです。 このような幸せな「建築」を建てることができたこと、そしてその機会を与えてくださった建主さんたちに、改めて感謝したい、そう思っています。
by prospect-news
| 2018-04-01 10:17
| 計画
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