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人それぞれの建築が顕れること。
ふと気持ちが向いて、 ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザの St. Ovídio Chapel( Arch Diary での紹介記事はこちら)のドローイングを試みました。 実際に訪れたことはないのだけれど、それでも自分にとって大切だと思う建築を挙げてみよと言われたら、きっと選ぶだろうそのなかのひとつです。 とても小さくプライベートな礼拝堂、一見すると単純で素朴な印象ですが、じっくり読み解けば、敷地や環境との応答、動線計画、内部機能の要請、材料や仕上げ、外観の扱いなどが、分かち難く一体となって計画されていていることがよくわかります。 しかし、建築物としての素晴らしさはもちろんのこと、それ以上に、言葉にはならない感情がどこからかわきあがってくる、そんな気持ちにこの礼拝堂は私を導きます。 もしかしたら私が試みたドローイングは、シザの礼拝堂を描きながらも、いつの間にか自分自身の礼拝堂として私の手元に顕れたものなのかもしれません。人それぞれに、その人それぞれの「建築」を建ちあげさせる、そんな力がこの礼拝堂にはあるのではないでしょうか。 建築物の使命が人々の日常やその暮らしを支えることだというのは自明なことですが、人それぞれの私的な思いや心を受け止めてくれる「建築」も、同じように必要とされていると、私は思っているのです。
by prospect-news
| 2018-05-28 22:44
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